台風が去って真夏並の陽気が戻ってきたが、朝晩はやはり秋の気配が漂うようになった。蝉時雨は相変わらず聞えているが、ツクツクボウシの声がどんどん目立つようになり、晩夏と呼ぶにふさわしい。8月も今日で終わり。今や夏休みの期間もまちまちで2、3日前学校帰りの小学生たちを見た。今年は残暑が長引くとの予報を耳にしたが、秋だと実感できるのはいつごろなのだろうか。
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今月半ば、SEALDsの解散が伝えられた。昨年5月3日の憲法記念日に結成され、若者らしい率直なスピーチやデモで諦めムードが漂う世間に新しい風を送った感があった。各メディアも度々とりあげ、SNSなどを通して彼らに共感する人たちは確実に増えていったと思う。
解散はあらかじめ予定されていたもののようだが、解散を惜しむ声が多く寄せられたらしい。そんな声に呼びかけるように、「終わったというならまた始めましょう。始めるのは私であり、あなたです。」と彼らは声明を発表した。惜しむ声をあげた人々のほとんどが未だ自分では動かず、共感を感じつつ静観するにとどまっていることは彼らも十分感じているに違いない。そんな沈黙する人々に対してのメッセージが今後なんらかの形になっていくといいと思う。
そんなSEALDsについて、公安が監視しているという話があることを知った。公安調査庁のレポート「内外情勢の回顧と展望」(平成28年1月)において、オウム真理教などとともにSEALDsがとりあげられており、公安はSEALDsメンバーの顔や名前を把握している、オウムの信者だった者と同じように一生監視される、云々。
これが本当だったら全く怖いことだが、ありえなくはないとも思う。情報だけは氾濫しているものの、何を信じたらいいのかの判断が非常に難しい時代になったとつくづく感じる。
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築地市場の豊洲移転が延期になった。11月に予定されていた移転が来年になったということだ。個人的に新知事はあまり好きではないが、今回の決定には賛同したい。そもそも土壌汚染を調べる地下水モニタリング調査がすべて終了していないのに移転を実行に移すというのは無謀というかおかしな話だと思う。
2020年のオリンピックのために道路を造らねばならない。そのためにはできるだけ早く築地市場を閉鎖・解体しなくてはならない。まずオリンピックありきであることは目に見えている。また、施設の設計などにも不安要素はけっこうあるようで、それらを無視しての強行移転は結局後々悔いが残るものになるような気がする。
それにしても、国立競技場にしろ豊洲市場にしろ、あれだけ大きな施設を造るには綿密な計画を立てていると思うのに、基本中の基本がぽっかり抜けているように見えるのは何故なのだろう。実際に施設を利用する人たちや建設に費やす税金を納めている人たちよりも、利権争いをしている一部の金持ちたちが優先されているということだろうか。
老朽化した築地市場はいずれ建て替えるか移転せざるをえないだろう。流通のしくみも大きく変化したし、「食の安全」についての意識も市場建設当時とは違う。移転は仕方ないことだと思うし、誰もが納得のいく移転などありえないだろうとは思うが、11月の移転には抵抗を感じる。
そんな築地市場について考えが掲載されたブログを今日見つけた。そこで紹介されている石巻水産物地方卸売市場のことや、それを設計した横河建築設計事務所についての話がなかなかおもしろい。今の築地市場を設計したのが横河建築設計事務所の前身である横河工務所という会社で、それを創設した横河民輔氏は立志伝中の人だという。現代という時代は、横河氏のような人物が出てきにくい時代なのか。それともすでにいないのか。