・・・まだ北海道の写真で失礼!美術館出入り口にあった小さな除雪車?・・・
先月書いた通り、今月は「通院月間」。3ヶ所の病院に計8回通ったことになるが、今日はその最終日だった。結果的にはたいしたことにならず一安心しているところだが、この2ヶ月弱は私にとって肉体的にも精神的にもけっこうつらいものがある日々だった。
救急車で運ばれるという突発的な出来事からはじまったので、今思えば仕方なかったとしか言いようのないことが多い。が、経験から学べたこともあったのでこれでよしとしたい。覚書として残しておきたいので、前に書いたこととやや重複するが1月7日からのことをざっとまとめてみたい。尾篭な事柄も出てくるのでご注意されたい。
■1月7日未明
寝ていて腹痛を感じて起きる。トイレに行くが周期的に痛みがあるだけで便通はなし。寒い時期だし薄着なので少し落ち着いたところで蒲団に戻る。以後これを数回繰り返す。依然として便通はないが痛みがどんどん強くなり絶えがたくなってくる。ふと「救急車」という言葉が頭に浮かぶが、これくらいのことで呼ぶのもいかがなものかという考えもあってさらに様子を見る。痛みはさらに強くなり、呼吸が乱れて汗びっしょりになる。眩暈もしてきて脚に力が入らず動きづらくなってくる。覚悟を決めて階段を這うようにして上り(トイレは階下、寝室は階上のため)、家人に救急車を呼んでくれと頼む。しばらく様子を見て家人が救急車を呼び、5〜10分後に来る(痛くて時間的な感覚なし)。歩けないので担架のようなものに乗せられ救急車へ。K病院に運ばれる。
私がかなり痛がっているからなのか、CTを撮る。呼ばれて診察室に入ると「便秘ですね!」と言われる。なるほどCTを見ると便秘状態である。浣腸をしますかと聞かれたのでしてもらうことにするが、次に呼ばれるまで待っている間にトイレに行くと下痢。念のため浣腸もしてもらうが、やはり下痢。薬(便秘用)を処方されて帰宅。
■1月8日
前日帰宅後、下血。朝まで続いているので心配になり、車で再度病院へ。血液検査をし、内視鏡検査の予約をとるよう言われる。前日のCTで卵巣に「できもの」があると指摘されたので婦人科の予約もとるように言われる。29日の再診予約。内視鏡検査の予約は2月15日。婦人科は2月12日。ともに1ヶ月以上先。
■1月29日
消化器科再診。診察の前に二度目の血液検査をする。前回の検査(1月8日)と比較して、“だいぶよくなっている”と言われる。内視鏡検査後の再診予約をする(2月26日)。
■1月下旬から2月上旬
処方された薬を飲みながらほとんど家で過ごす。腹部の痛みは徐々に軽くなってきたが、今度は胃の具合が悪くなってくる。つかまれるような痛みがほぼ1日中続く。市販の胃薬を飲むが全く効かず。2月上旬に旅行を予定していたので心配になるが、動けないほどではないので食事に気をつけながら過ごす。旅行を無事終えて帰宅しても胃痛は治らないので、今度は胃痛をやわらげる鎮痛剤を買ってきて飲んでみる。たしかに痛みはかなり軽減されるが不安は残る。
■2月12日
婦人科の検査。卵巣と子宮を内診してもらう。卵巣は少し腫れているが、とりたてて治療する必要はないとのことで安心する。ついでに子宮ガン検診をしてもらい帰宅。19日に結果が出て子宮ガンもクリア。
■2月15日
大腸の内視鏡検査。ポリープも癌もないが、ただれている(炎症を起こしている)場所が数ヶ所かるという。組織検査をしたので結果が出るまでわからないが、「虚血性大腸炎」だったのではないかとの所見。
■2月20日
胃の痛みがだいぶやわらいできて、何かを食べたいと積極的に思うようになる。「美味しい」という感覚を久しぶりに感じて嬉しくなる。
■2月22日
予約した上でKWクリニックを受診。K病院の対応に納得できないものがあったこと、いずれにしろセカンドオピニオンをもらった方がいいと考えたことによる。ここはだいぶ以前、友人が高校時代の同級生が横浜市でクリニックを開業しており評判もいいようだ、と教えてくれたクリニック。うろおぼえで検索して友人に確認した。もともと消化器系が専門とのこと。院長に診てもらう。
これまでの経緯を話すと、話だけで「虚血性大腸炎」なのではないか、と。同業者として倫理的に他の病院を悪くいうつもりはないようだが、どう見てもK病院の対応が遅いという感は否めないようだ。血液検査の結果を見せると一瞬沈黙。たぶん炎症の程度を示すCRPの数値、白血球数などを見てのことだと思うが、通常の炎症では考えられない値だったようだ。「これは相当つらかったでしょう」と言われ、なんだかやっと自分のつらさをわかってくれる医師と出会えたという気持ちになった。
院長いわく、症状から「虚血性大腸炎」はまっさきに疑われるものであり、その場合通常点滴を行い、2〜3日の絶食を指示するという。私は点滴もせず絶食も指示されなかったが、結果的に絶食状態が2日間続き、それが偶然よい方向に向かったというわけだ。
すでに胃の痛みはほとんどなくなっていたが、触診してもらい、どうせだからということで来月胃カメラを飲むことになった。市の健康診断もしていなかったので、健康診断、肺ガンの検診も同じ日にすることになった。
■2月26日
K病院へ。内視鏡検査の最終結果を聞きに行ってきた。大腸の4ヶ所から組織をとって検査したが、いずれも悪性のものはなく、先日の状態は“ちょっとした炎症”でしょう、とのこと。「虚血性大腸炎」という診断もなかった。あれが“ちょっとした”とは恐れいるが、もうこれでK病院ともお付合いしたくないので何も言わずに診察室を出た。
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学んだことはおおむね以下のとおり。
(1)大きな総合病院は万能ではない。
医師の質や病院の方針などにもよるが、まずは信頼できるかかりつけ医を見つけることが重要。また、時には各診療科間の連絡がうまくいかず無駄に待たされる。
(2)診療に納得がいかなかったら、別の道を探してみるのもよい。
よい病院、よい医師というのも人によって違うが、自分が納得できる医師を探す努力はすべきだと思う。今回は、友人に以前紹介されていたクリニックがよかったので幸運といえる。
私が納得できなかったのは、当人は死ぬほどつらかったにもかわからず当初は「便秘」の一言で済ませられたこと。2回の血液検査の結果はだいぶ違うものだったが、ほとんど説明されなかったこと(どの値が何を意味し、どう変化したか等々)。再診、検査とも時間がかかりすぎること。
(3)医師のちょっとした一言が患者にとっては重要であることを医師自身が知っているかどうか。
今回、まずCTで卵巣の異常が発見されたわけだが、ERの医師の「できもの」という言葉が私にとってはかなり気になるものだった。私の感覚では「できもの」=「(良性悪性は問わないが)腫瘍」である。激しい腹痛ももしかしたら大腸に原因があるのではなく、卵巣の腫瘍のためなのかもしれないとも考えた。
また、以前ごく軽いものではあったが子宮ガンを経験しており、親類縁者にも癌で死亡した人が多いことから、自分もいずれ癌になると普段から思っている。もしかしたら卵巣癌なのではないかという不安が検査結果を聞くまで常に頭の片隅にあった。結果的には「腫瘍」ができているのではなくただ「腫れて」いるだけ、しかもあまり心配するほどのものではないことがわかって安心したのだが、「できもの」という一言をなにげなく使った医師に対して不信感を持った。
消化器系の担当医の対応も納得いかなかった。8日に下血で診てもらったのだが、次の診察で下血については何も聞かれなかった。3週間以上も間があいたので当然出血は止っているものと考えたのだろうが、わかりきったことだとしても一応聞くべきなのではないだろうか。
また、数値からして明らかにひどい炎症を起こしていた(KWクリニック院長に言われなくても調べればわかること)にもかかわらず点滴も絶食指示もしなかったこと。だからなのか“ちょっとした炎症”で済ませたこと。炎症はもう治まっているし、患者は無知なのでまあいいか、程度にしか思っていないのではないかと疑ってしまう。
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なにはともあれ、つらい2ヶ月が一応のところ終わったようで気分的にはずいぶん軽くなった(医療費がどんどんかかったため財布もさらに軽くなった)。当分は体力回復、体力増強に努めたいと思っている。
それでなくても体力がないのはわかっているが、今回の件でさらに貴重な体力を失ったことを実感している。激しい痛みというのはかなりエネルギーを消費させるし、2日間絶食したから当たり前なのだが、当初は身体がふわふわ不安定になっていた。体重を量るのが恐くてすぐには計れなかったが、絶食が終わって2日後くらいに恐る恐る計った40キロを切っていた。体脂肪率たるや1桁になっていて、おおげさではなくギリギリの線で生きているのではないかとさえ思ったものだ。
その後できるだけ食べるようにし、具合がいい時は動き、痛みがある時は無理せず横になるようにしてきた。体重はほぼ元に戻ったし、体脂肪率も現在12%くらいまで上がった(それでも少なすぎだが)。整腸剤だけ飲み続け、他の薬はもうやめようと思っている。
身体のどこかが痛い、具合が悪いというのは実に憂鬱なものだ。なにかやりたいと思うことがあっても、その気力が殺がれる。なにをするにも心から楽しめない。何を食べても「美味しい」と感じない。実に味気なく、不甲斐なく、そしてつらい。やはり、健康が一番!である。