先月は、猫の殺処分ゼロを目指す保護猫カフェ「ネコリパブリック」が企画するイベント『ネコ市ネコ座』プロジェクトにサポーターとしてささやかな協力(寄付)をした。目標金額を設定し、目標に達すればイベントを実施するというものだったが、当初の目標は軽々とクリア、さらに目標を高く設定し他のエリアでもイベントを開催する提案がなされた。その目標も達成し、東京と大阪でアフターパーティが行われたようだ。
犬や猫などの保護、処分などについての活動は様々なかたちで行われている。保護・里親探しをしている個人、団体の数も多く少しずつではあるが知られるようになってきたと思う。では、他の動物は?
一年に数えるほどではあるが、競馬場に足を運ぶようになりテレビで競馬中継を見るようになって、馬の余生について思うことが多い。大きなレースで優勝したり、有力馬として注目され、ある程度の成績を残した馬は種牡馬としての余生が約束されているのかもしれない。が、そんな馬たちよりはるかに多いのが、一向に勝てず登録を抹消され、肉用に売られていく馬たちである。
人間の都合で育てられ調教され走らされ・・・揚げ句の果てに「肉」になっていく・・・このどうしようもない現状が常に頭から離れず、レースを楽しみつつも負けた馬たちのことが心配になる。
数日前、facebookで引退場などを預かり世話をしている「渡辺牧場」のことを知った。約40年間、北海道浦河で競走馬の生産と育成に携わってきたご夫婦が経営されているらしい。現在は、引退馬の養老牧場として活動しているというが経営は厳しそうだ。
馬を預託したはいいが預託金の支払いが成されなかったり、そのためやむなく馬を手放す(多くは食用になったのではないだろうか)ことになったり、様々なことがあったと思われる。そんな「渡辺牧場」が、セントネイチャーという馬の里親会を作り会員を募集しているという。
馬は身体が大きいだけに、金も場所もかかる。具合が悪くなって医者にかかれば相当な金もかかるだろう。小さな牧場でそれをやるのはかなり大変だ。当然限界もひしひしと感じておられると思うが、新たな試みとしてこの里親会ができ、会員が増えれば安易な安楽死や食肉になる馬の数が少しは減るかもしれない。会費は1口2000円で何口からでもいいそうだ。会則をしっかり読んだ上でできる範囲で応援していきたいと思っている。
今回、「渡辺牧場」の話題を含む「引退馬協会」を取材したサイトにも出会った。netkeiba.comの“第二のストーリー〜あの馬はいま”の特別企画として連載された「日本中に馬のいる風景を・・・引退馬協会の取り組み/引退馬の現状と未来」だ。リンクしておくので、興味のある方にはぜひ読んでいただきたい。
「渡辺牧場」のサイトには、“イギリスのとある厩舎の壁に掛けてある言葉”として「馬の祈り」の一部が紹介されている。調べてみると、作者は不詳だが、ネットの普及により一部バリエーションを含め徐々に世界中に広まっているという。ここでは、「とどけ!馬の祈りプロジェクト」というサイトに掲載されているものを引用する。
馬の祈り
わたしに食物と水をお与えください。
一日の仕事のあとには、どうかわたしを気遣ってください。
わたしが安心できる住処を
清潔な寝わらと広い馬房をお与えください。
わたしに話しかけてください。
声をかけてください。そうすれば、手綱を使わなくてもすむのです。
わたしに優しくしてください。
そうすれば、わたしは喜んであなたを愛し、お仕えします。
上り坂を行くとき、手綱をひっぱったり
鞭で追い立てたりしないでください。
わたしがあなたの言うことを理解できないとしても
叩いたり蹴ったりしないでください。
そうではなく、わたしが理解するための時間をください。
わたしがあなたの指示のとおりに動かなくても
わたしが不従順だと思わないで下さい。
おそらく馬具かひづめの具合が良くないのです。
わたしが飼い葉を食べないようなときには
わたしの歯を調べてください。
おそらく歯が悪くなっているのです。
その痛さをあなたもよくご存知のはずです。
引き綱を短く縛らないでください。
また、わたしの尾を編まないでください。
尾はわたしにとって、蝿や蚊と闘う唯一の武器なのです。
そして最後に、愛するご主人様
ついにわたしが役に立たなくなったときには
わたしが飢えて凍えるままにしないでください。
わたしを売らないでください。
わたしを新しい主人のもとへ送らないでください。
その人はわたしを痛めつけて殺すかもしれません。
飢え死にさせるかもしれません。
そうではなく、愛するご主人様、そのときには
あなたのその手で、わたしを安らかに
ひと思いに殺してください。
そうすれば、神はこの世と次の世においても
あなたに恵みをお与えくださるでしょう。
わたしがこのようなことをあなたにお願いするからといって
不愉快だなどと思わないでください。
わたしはこのことを主の名において、
わたしと同じく馬小屋にて生を受けた、あなたの救い主、
イエス・キリストの名においてお願いするのです。
アーメン。
A Horse’s Prayer
Give me to eat, give me to drink,
and worry about me when the day’s work is done,
give me shelter, a clean bed and a wide box,
talk to me, often your voice substitutes for the reins,
be good to me and I will gladly serve you and love you.
Don’t jerk the reins, and forego the whip
when we go up a rise.
Don’t hit or kick me should I not understand you,
give me time to understand.
Don’t think me disobedient should I not follow your orders,
perhaps the harness and hooves are not in order.
Examine my teeth should I not eat,
perhaps I have a bad tooth.
You know how much that can hurt.
Don’t tie me too short and don’t braid my tail,
it is my only weapon against flies and mosquitos.
And at the end, dear master, when I am no longer useful,
don’t let me go hungry and cold and don’t sell me.
Don’t give me to a new master,
one who will torture me to death and let me starve,
but give me a quick and compassionate death, dear master,
and God will reward you, in this life and the next.
Let me ask this of you, not in disrespect,
when I request it in the name of Him
who too was born in a stable, your savior Jesus Christ
Amen
(From an inscription in an old English barn)
−Dressage in Harmony by Walter Zettl より抜粋、日本語訳:塩谷文子