昨日の早朝、新幹線に乗る前に売店で新聞を買った。本も持っていったのだが、なんとなく読む気になれなかったので。買ったのは東京新聞。マスコミに対しては不信感いっぱいの私ではあるが、新聞の中では一番まともなのではないかと思っている。最近あったあれこれに対するスタンスからそう感じているだけだが。
一面に「秘密保護法 廃棄案求め声明」とあり、分野を超えた学者たち31人が「特定秘密保護法案に反対する学者の会」を結成し声明を発表したという記事があった。ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英・名古屋大特別教授もその一人でコメントが紹介されていた。
学者たちだけでなく、この法案に反対する声が様々なところから聞こえている。それなのに強引に可決した政府。何のための誰のための政府なのかと思った人は多かったに違いない。
日本の安全保障に関する情報のうち「特に秘匿することが必要であるもの」を「特定秘密」と指定し、取扱者の適評価の実施や漏えいした場合の罰則などを定めることを目指す法案。
これが「特定秘密保護法案」というものらしいが、“特に秘匿することが必要”だと判断する者とは誰なのか。信頼できるかどうかわからない誰かさんが「これはヒミツ!」と決め、この人には「ヒミツ」を教え、あの人には教えず、それでもどこからか「ヒミツ」が漏れたら漏らした者を徹底的に探し出して罰する・・・子供のともだち付合いならいざしらず、これが国家レベルでやられると考えるとひたすら怖い。
今日の東京新聞に福島の原発の技術者だった人のコメントが掲載されていたが、あの事故だってかなりの情報が隠されていた(現在も)はずだ。そもそも原発そのものが「ヒミツ」を抱えすぎている。公開すべき情報を「ヒミツ」にしたゆえの被害は計り知れないのではないかと思う時、この法案が成立することに恐怖を覚える。
益川教授は、この法案成立に伴いなしくずしに変わっていくであろう社会に触れ、国民に警鐘を鳴らしている。電話取材とのことで短いコメントなので、引用しておく。私たち一人一人が「自分のこと」として考えなければならないと改めて思う。
◆国民が危機感持たねば 益川敏英・名大特別教授
政治をやる上で、秘密にし続けなければならないことはありません。外交や国防に関する内容であっても、後から必ず公開されるのが大原則です。無制限に秘密を指定できる法案を通せば、恐ろしいことが起こります。国民は、政治の決定プロセスが明らかにならないことに、だんだん慣れてしまうでしょう。社会というのはなし崩し的に変わる。安倍晋三首相の施策からは「日本を戦争ができる国にする」という意図が透けて見えます。今回、専門分野を超えてこれだけの学者が集まったのは、国民全般の生活に関わるからです。それだけの危機感を持たなければならない問題なのです。