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日々の内側
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高橋たか子氏を悼む
13-0731

今月12日、作家の高橋たか子さんが亡くなった、という訃報を見た。作品を好んで読んだのははるか昔だが、今も単行本は本棚の見えるところに立ててある。女流作家の中でも特に好きな人だったので読みたいと思った時すぐに出せるようにしてあるのだ。


さほど多くの作品を読んだわけではないが、常に乾いた孤独感を漂わせる作風が好きだった。登場する女性たちは派手なタイプの人ではないのだが、どこかエキセントリックなところもあって、それが私にとっては大きな魅力に感じられた。


「空の果てまで」で田村俊子賞、「ロンリー・ウーマン」で女流文学賞、「怒りの子」で

読売文学賞など受賞も多いが、私の手元にあるのは「荒野」「華やぐ日」「骨の城」。

「空の果てまで」も読んだ記憶があるが文庫版でどこかにまぎれているのかもしれない。

自殺幇助をテーマとした「誘惑者」も印象的な作品だった。忘れていたのだがジュリアン・グリーンの「ヴァルーナ」の翻訳者でもあった。


あらためて経歴を見てみると、興味深い作品が数多くある。新刊書に手を出すのはしばらく

休みにして家にある高橋作品や未読の作品を読んでみようかなと思っているところ。


享年81歳ということなので、立派に生き抜いた人生だったことと思う。ご冥福を祈りたい。

| - | 21:53 | comments(0) | - |
シークレット・レース

13-0730

数年前からツール・ド・フランスに興味を持ち機会をとらえてレースの模様を見るのを楽しみにしている。といっても今は有料のスポーツチャンネルでしか中継はしていないので、もっぱらニュース番組かネットの動画だが。


そんな折、「シークレット・レース」(タイラー・ハミルトン/ダニエル・コイル著)という本が文庫で出版されているのを知りさっそく入手。一気に読み終えたところだ。


内容はツールの選手であったハミルトンに取材しコイルが書いたツール・ド・フランスの内幕。もっと具体的に言うとドーピングについての話である。陸上選手のドーピング問題が時々話題になるが、最も過酷といわれるツールにおいてドーピングが行われていた(過去形ではないかも)ことは想像の範囲内だが、これほどまで!と思える内容に驚きを隠せなかった。


ご存知のようにツール・ド・フランスはチームでの競技であり、それぞれのチームにはスポンサーがついている。国、スポンサー、チーム、もしかしたらチームの監督やリーダー・・・様々なプレッシャーをかかえつつ過酷なコースを走りつづける選手たちの姿は壮絶だ。ドーピングはもちろんよいことではないが、「スポーツ=清廉潔白」という図式はもはやこの世にはないのではないかと思える昨今、選手たちもまた犯罪者であるとともに犠牲者でもあったのではないかと思えてくる。


また、ドーピングというと禁止薬物の摂取を連想するが、血液ドーピングというものもあることを知りレースの厳しさを改めて知る思いがした。血液ドーピングとはあらかじめ採血しておいた自分の血液をまた自分に戻すことだ。レースが進めば進むほど身体には疲労が蓄積され、血液中の赤血球が減ってくる。


赤血球は酸素を運ぶ役割を持つので、減れば身体に行き渡る酸素も減る。酸素が減れば動きが鈍くなる。ゆえに輸血して赤血球の数を増やすことが持久力アップに貢献するということだ。


本の中にたびたび出てくる「EPO(エリスロポエチン)」は赤血球を増加させる効能があり、自転車レースのみならず持久力が必要な長距離系スポーツで使用されているらしい。ギリギリまで鍛えあげられた身体に有効なのは血液に作用するものだということだろう。


著者の一人であるタイラー・ハミルトンは1999〜2005年まで驚異のツール7連覇を果たした(後に剥奪)ランス・アームストロングのチームメイトだったこともあるアメリカの選手。2003年の鎖骨骨折を押してコース優勝を果たした映像は今見ても感動的である。が、迷いながらもドーピングに手を染め、キャリアを築いていったこともまた事実だ。そのハミルトンが結局は自らドーピングをカミングアウトするという選択をし、アームストロングのドーピングを証言することになる。


ここに描かれているのは、ドーピングがいかに組織的に、綿密な計画のもとに行われ、当時の有力選手のほとんどが多かれ少なかれ手を染めていたという事実だ。そして、そうしなければ成績を残せなかったという事実だ。そして個々の選手にはもちろん責任はあるが、大会の運営者にも、そして熱狂しながらレースを観戦するファンにも全く関わりがないとはいえないと思えた。


本を読み終えて昔の映像を見ると、それぞれの選手たちの活躍が少し色褪せてくる。が、ほとんどの選手がドーピングしていたのなら、立場はほぼ同じだったとも思える。ドーピングは国によって基準が違い、選手個々の体質や体調によって効果も違ってくる繊細さを持つ。検査の方法も完璧とはいえないようだ。本を読み進んでいくうちに、その複雑さを知り、選手の心理を知り、コースの厳しさを知り、「ドーピング=悪」という単純なことではない

と確信するに至る。


もっと早く。もっと強く。欲望に限界はない。そういった人間の性質そのものが生み出したのがドーピングという行為なのではないだろうか。


ニューヨークタイムスによると「本書は現時点におけるプロ自転車競技の薬物問題に関する最も包括的で誰もが入手できる報告である」と評価されている。こういった問題は巧みに隠されていることが多いことを思うと、「誰もが入手できる」というのは貴重なことだと思う。おすすめ。

| - | 17:00 | comments(0) | - |
富士山は遠くにありて思うもの?
13-0728

今日の日曜美術館は富士山を題材にした傑作10選であった。葛飾北斎、谷文晁、片岡球子、横山大観、奥村土牛・・・それぞれが特別の思いを持って描いた富士山の数々・・・これを見ていると「文化遺産」として認められたということに対する微かな違和感も和らいでくるようにも思われた。


が、しかし、である。やはり最近のはしゃぎぶりを見るにつけ果たして世界文化遺産として認められたことがいいことなのかという疑問を強くする。


もともとは自然遺産としての登録をねらっていたのではなかったか。なぜそれが困難なのか。「自然」がダメなら「文化」があるさとでも考えているように思えてならないし、「遺産」とは何かを真剣に考えているとも思えない。


山梨や静岡の観光業に携わっている人たちにとっては喜ばしいことなのかもしれないが、「環境」と「観光」が両立するのは難しい。屋久島は世界遺産に登録されてから観光客が増え、環境が劣化していると聞く。世界的に認められたことは誇ってもいいことだと思うが、だからこそその「遺産」を保持していくための重い義務を負ったのだと自覚する必要があるのではないか。


入山料が試験的に導入されたというが、その金額や方法(任意)というのにもあまり納得できない。頂上めざして行列を作る光景は私の目には異様である。「霊峰」として(神聖な場所として)古来より大切にされてきた場所ならば、それなりの心構えを持っていなければならないと思うし、それならこれほどゴミ問題に悩むこともないであろうに・・・遠くから見る富士山はとても美しく畏怖の念さえ抱かせるのに、実際に登ると一気に世俗の世界に触れることになってしまっているのではないか。


世界遺産に登録されるのであれば、環境保全の基準も世界的視点で考えなければならない。入山者数をこれ以上増やさないためには(増えれば増えるほど山が汚されていくという悲しい現実は否めない)、入山料をもっと引き上げて義務化するのもやむを得ないと私は思う。


「世界遺産の経済学」の著者の一人である栗山浩一教授によると、世界文化遺産登録前の

登山者数にするには入山料を7000円にする必要があるとのことだ。7000円といわず10000円にしてもいいくらいだと私は思う。富士山は「観光地」である前に未来に引き継ぐことを好んで受け入れた「遺産」であることを、私たちは思い知らねばならないのではないか。


理想を言えば、「文化遺産」ではなく「自然遺産」として認められるよう努力をした上で申請すべきであったと思う。登録が決まってから慌てて対処しているとしか思えない状況を見ていると登録抹消の危険性も多いにありうるとさえ思う。長年富士山の清掃活動をしてこられた野口健さんが抱く危懼は実際の状況を見てきた登山家としてもっともだと思うのだが、

うかれ気分のニュースばかりが報道されているのを見ていると暗澹たる思いが胸の内に蟠ってくる。


「富士山清掃活動を始めたのだが、当時は環境問題に対する注目度が低く、関心を集めるために“富士山を世界遺産に”と発言してみた」

「多くの人は“世界遺産”という単語だけに反応する。だから、それを利用すればいいと考えたのだが、今は猛烈に後悔している」

(野口健・富士山の世界遺産にモノ申す/MSN産経ニュース)


子どもを産む前、自衛隊の西富士演習場で見た富士山の姿が忘れられない。長く裾を引くあの美しさ。おおらかで気高く、堂々と存在する稀有の山である。実際に登っても清らかな山になってほしいと願いつつ、私は遠くから眺めているだけでいい。

| - | 14:59 | comments(2) | - |
PHOTO WEEK・・・炎天<7>
13-0727
| - | 10:58 | comments(0) | - |
PHOTO WEEK・・・炎天<6>
13-0726
| - | 17:36 | comments(0) | - |
PHOTO WEEK・・・炎天<5>
13-0725
| - | 19:00 | comments(0) | - |
PHOTO WEEK・・・炎天<4>
13-0724
| - | 14:05 | comments(0) | - |
PHOTO WEEK・・・炎天<3>
13-0723
| - | 21:08 | comments(0) | - |
PHOTO WEEK・・・炎天<2>
13-0722
| - | 11:40 | comments(0) | - |
PHOTO WEEK・・・炎天<1>
13-0721

暑い暑いとばかり言っていても仕方ないので、この異様な暑さを写真に収めることにした。目に見えぬものを撮るのは難しいが、さてどうなることやら。
| - | 17:52 | comments(0) | - |
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