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日々の内側
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まきもの、ぐるぐる
13-0430

身体の中で首が私の最も弱いところである。肩凝りも頭痛も、そして今は鳴りを潜めているが手の痺れももしかしたら五十肩らしい症状も、たぶんすべて首に起因していると思う。


そもそも運動不足なことに加えて身体を鍛えようという気持ちになかなかなれないので、私の首は弱くなる一方だ。最近ストレートネックという症状が注目されているらしいが、もしかしたら私もそれかもしれない。できるだけ姿勢よくすることを意識しているが、それ以外はなーんにも!と威張っている場合でもないのだが。


ということで、私は一年を通じて首にぐるぐる何かを巻いている。いわゆる「巻きもの」だが、タートルネックのセーターを着ていてもその上から「これでもか!」というように巻いているので、暑がりの人には「暑苦しい!」「信じられない!」と言われる。


ちょっと寒くても首に何かを巻いているだけでかなり違うものだ。逆に暑い時は相当暑いのだろうと思うと案外そうでもない。慣れているからかもしれないが、汗を吸い取るし紫外線から護ってくれるので真夏の巻きものもけっこういいものだと思っている。


こういう私であるから、巻きものは普通の人よりも持っている・・・と思う。数を数えたことはないが、たぶん平均以上は持っている。冬はウール、春はウールの薄手かウールとコットンなどの混紡。真夏はさすがにウールではなくコットンか化繊。秋からまたウール中心になる。


個人的にはしなやかな素材が好きなので、張りのあるコットン製はどうも性に合わない。ガーゼ丈に織られていいる柔らかいものならOK。それよりモダール(レーヨン)にコットン、リネン、シルクなどを混紡したものの方が好きだ。


メーカー、ブランドは特に問わないのだが、いざ探してみると中々気に入ったものが見当たらない。しかし持っているものを見るとウールだと45RPMのものが多いようだ。柄はチェックが多く花柄はほとんどない。無地でも織り方に変化を持たせているものなどが好みだ。


最近気になっているのはファリエロサルティのストール。さすがイタリアだと思わせる素材、色、柄のものが多くモダールシルクなどオールシーズン使えるものがメインなのでひとつは欲しいところ。が、なかなかお値段と財布が折り合わない(^.^;)


あと最近知ったのだが日本の伝統的な技法を使って織られている玉木新雌(たまきにいめ)のストールがなかなか。やさしい風合いときれいな色づかいが魅力的である。


着るものは黒やグレー、ネイビー、ベージュ、白などが多いので、巻きもので少し遊んでアクセントを付けながら首を守る。巻きものは私にとってなくてはならないものなのである。


*それにしても4月の更新は少なかった(^.^;)

*5月はもう少し更新回数を増やそうと(今のところ)思ってはいるが・・・

| - | 16:36 | comments(0) | - |
こけし
13-0427

子どものころから土産物としてよく見かけてきた「こけし」。あまりにありふれているようでとんと興味の対象にはならなかった。むしろ、若いころはどこか古くさいもの、ダサいもの、他愛ないものとしてきちんと見ようともしなかったように思う。


また、小学校低学年のころだったか、廊下を歩いていたら見知らぬ上級生の男子がすれ違いざまに私の顔を見て「こけし!」と言ったのが何だか妙に心に残り、その時の驚きが不快感になり知らないうちに避けてきたのかもしれない。


ここ数年、東北地方に行くことが多くなったせいか、気づいたら「こけし」を気にするようになっていた。この年になると、10だか11だかの系統に分かれるという伝統こけしの面白さも分かるような気がするし、単純素朴ではあるが奥深いものとして共感できるようになったということだろう。玩具の原点を見るような気がして、「こけし」はどこか懐かしく愛おしい存在になってきた。


こんな私とは関係ないところで、「こけし」は若い女性にも注目されているように思うことがある。ちょっと気の利いた雑貨店などをつらつらと眺めていると「こけし」をデザインした紙モノなどを見つけることがある。彼女たちにとって「カワイイ」のひとつにすぎないのかもしれないが、なかなかいいところに目をつけたとも思う。


写真は先日行った仙台市博物館のミュージアムショップで見つけたもの。普通こけしは赤、黄、青、緑などで彩色されているが、これはモノトーン彩色。それが珍しく、またちょっと変っているので入手した。小さな口だけば紅色で、それがなんとも愛らしい。系統としては細身のボディ、胴部分の描かれた菊の模様などから「作並系」だろう。


コレクションするつもりは毛頭ないが、見ていると集めたくなる気持ちも分かるような気がする。

| - | 18:54 | comments(2) | - |
KITTE
13-0425

昨日、久しぶりに東京駅に行った。いや、駅を利用するのはさほど久しぶりではないのだが、駅舎の復元工事が終わってから外に出たことがなく・・・つまり駅舎を外から見たのは久しぶりだということだ。


丸の内のクリスマスイルミネーションを撮りに行ったのは3年前か4年前か。以来、ずっと

工事をしているような気がしていたが、ついに完成し大変な人気だというニュースを何度か

見た。写真を撮る人で大混雑、と言われてしまうとなかなか行く気になれなかったが、

今年3月にオープンしたKITTEを見たいと思ったので行くことにしたのだ。


KITTEは日本郵便が手がける商業施設で旧東京郵便局の局舎を保存・再生した部分と新築

部分からなる。地下1階地上6階がKITTEで、全国のご当地名産品、大人の女性のリアルクローズ、日本の美意識、古いものと新しいものの融合、などをテーマとしたフロア構成だ。


すべてを見たわけではないが、特に雑感関連は楽しい店が多いと思う。私が見たかったのはこだわりを持って選ばれた糸を扱う「MOORIT」、ハンカチ専門店「H TOKYO」、書籍・文具・雑貨・カフェの「マルノウチリーディングスタイル」などなど。


平日なのにけっこう混雑しており、注目度の高さがうかがえた。財布のヒモを硬くしたつもりだったが細かいものを少々ゲット。プレゼント選びにもよさそうだ。


写真は旧郵便局長室の窓から見た駅舎。雨だったので調度いい位置から濡れずに撮れてラッキーだった。駅舎についてはいずれゆっくり撮りに行きたいと思っている。

| - | 22:20 | comments(0) | - |
若冲さんを観に行ってきた
13-0424

仙台市博物館で開催されている「若冲さんが来てくれました〜プライスコレクション江戸絵画の美と生命〜」を観に行ってきた。日帰りの強行軍で絵を観に行くだけで精一杯だったが、なかなかいい展覧会で満足して帰宅した。


今回の展覧会は、東日本大震災の大きな被害を知ったアメリカのジョー・プライスさんが無償で自らのコレクションを貸し出してくれたもの。仙台からはじまりこれから岩手、福島と被災地を巡回する。一般の展覧会とは大きく意義が違うのでぜひ行きたいと思っていたのだった。


伊藤若冲は、数年前東京の国立博物館で観て以来好きな画家である。というか、あの時若冲を見なかったら、以後古い日本絵画をこれほど好きになったかどうかわからない。何故だかわからないが、若冲を見てから折に触れて展覧会に出かけるようになった。


ジョー・プライスさんは、今でこそ日本の江戸絵画コレクションでは有名な方だが、もともとはエンジニアである。全くの畑違いだが、若いころアメリカの骨董店で偶然見かけた葡萄の絵に心惹かれ、以来少しずつ集めたらしい。


その時一緒だったのがなんと建築家であるフランク・ロイド・ライト氏だったと今回の図録を読んで初めて知った。親しいお付き合いだったようでプライスさんは2人の師のひとり、と語っている(もう一人は若冲さん)。


プライスさんが惹かれた葡萄の絵の作者が若冲。まだ日本でもほとんど知られていないころの話だ。


プライスさんは一貫して「自分が美しいと思った」ものだけを集めている。技術的なことや骨董的価値などよりも自分の目だけで探し、集めたというところにコレクションとしての大きな魅力があると思う。それは、正式に絵画を学んだことなく、自分が思うように描き続けた若冲に共通するところであり、そういった姿勢が日本絵画ファンだけでなく今まで展覧会などに足を運んだことのない若者たちにも支持される所以であるような気がする。


今回の展覧会は、とくに子どもたちに観てほしかったようだ。タイトルや解説も子ども向きにわかりやすく書かれていて、大人が読んでも心地よい。若冲さんだけでなく、曽我蕭白、長沢蘆雪など様々な絵師たちの作品が並べられており江戸絵画入門にもふさわしいと思う。


図録を読んでいたら、前回私が見たのは2006年に東京国立博物館で開催された「プライスコレクション〜若冲と江戸絵画」だったことを知った。もう7年経つのか・・・宮内庁三の丸尚蔵館でも若冲を観たなぁ・・・などと感慨を覚えた。本棚のどこかにその時の図録があるはずである。近いうちに引っ張り出してみようと思っている。


この展覧会は5月18日から岩手県立美術館、7月27日から福島県立美術館で開催される。特に福島は首都圏から日帰りでも行きやすいところなので興味のある方にはぜひ行っていただきたいと思う。

| - | 10:15 | comments(0) | - |
キャパの十字架
13-0422

この本は発行されてすぐ目に留めた。が、なんとなく買わなかった。が、いつかは読むことになるだろうという確信もまたあった。1カ月ほど経ったころ、なにか覚悟めいたものを抱いて本を買い、一気に読んだ。


キャパ・・・非常に有名な写真家である。フォトジャーナリズムの先駆者として、あの「崩れ落ちる兵士」を撮影した勇気ある戦場カメラマンとして。が、前にも書いたように思うが、あの写真には様々な疑惑がつきまとっていた。果たして本当に戦場で撮られたのか。兵士にポーズを取らせたのではないか。たまたま滑っただけのところがたまたまフィルムに焼き付けられたのではないか。そもそも撮ったのはキャパなのか。


横浜美術館でキャパとゲルダ・タローの写真展が開催され、見にいったときに私はそれを知った。ずいぶん知るのが遅かったと思う。著者の沢木耕太郎は数年前からこの疑惑についてアプローチしていたのだ。


ノンフィクションライターとして一流である著者は写真も多く手がけている。何もせずにはいられなかったのではないだろうか。


著者はあの写真についての研究者を訪ね、掲載された雑誌を探し、現地に何度も足を運び、困難を極めるかに見えた状況から少しずつ推論を進めていく。その行動力、取材力、観察力、洞察力、構成力・・・すべてにおいて圧倒される思いがした。


私は見ていないのだがNHKで「運命の一枚〜“戦場”写真最大の謎」というドキュメンタリー番組が2月に放映されたらしいので見た方もいらっしゃると思う。


著者は最後まで断定はしていない。いや、確たる証拠がない以上誰にもできないのだと思う。あくまでも推論にしかすぎないが、それは事実に近いと私は思う。少なくともあの写真は兵士が戦場で撃たれて倒れる場面ではないことは確かだ。そして使われたのはたぶんライカではなくローライだろう。ということは撮ったのはキャパ(キャパという名前はゲルダと共同で作り出した名前だが)ではなくゲルダだった可能性が高い。


確たる証拠はないが、キャパが生前あの写真についてあまり語りたがらなかったこと、近しい写真家とあの写真について激しい言い合いをしていたこと、あの写真が有名になりゲルダが非業の死を遂げてからなにかに取り憑かれたように戦場に赴いたこと。それらはあの写真を超えるものを自身の手で撮らねばという大きな十字架を背負っていたからではないか・・・これも沢木氏の推論どおりだと私も思う。


真実を追究するということは必ずしも歓迎されるものではない。場合によっては「余計なことをするな!」という避難を浴びることになりかねない。が、戦場という場における写真についてはそれを追求することは非常に重要だと私は思う。そして、ゲルダ・タローという女性カメラマンの名前を忘れずにいようと思う。

| - | 17:50 | comments(0) | - |
MY HOUSE
13-0421

ついでに借りてきた映画が予想外に面白かった、という経験を何度かしている。4枚で1000円なので目的のものだけを借りればいいものをついつい何か他に・・・と探して4枚借りてしまうことが多い。


その中の、最後に選んだあまり期待もしていない映画が一番面白かったというのも少し皮肉な話だがこういう偶然が私は嫌いではない。


今回出会ったのは「MY HOUSE」という映画だ。パッケージの背面にある解説からはホームレスの男の生活を淡々と描いた映画だろうという予想はついた。が、予想は半分裏切られた形になった。


淡々と描かれているというのははずれてはいない。冒頭数分間はホームレスの男女が公園に「MY HOUSE」となるべきものを築く材料を運び、黙々と組み立てていくシーンが続く。2人は一言も話さず、ただひたすら組み立てていく。慣れているとみえて、次に何をすればいいかわかっており、2人の作業は非常にスムースだ。


それにしても、あのブルーシートで覆われた「家」があれほど合理的に作られているとは思わなかった。きっと監督は実際にホームレスを取材して細かく教えてもらったに違いないと思う。


組立られた家の中にはテレビもあれば小さなテーブルもあり、料理をする道具もあり、非常に狭いながらもなかなか快適そうである。布団もあるから寒さに震えることもない。

仲間のホームレス2人も隣りに家を建てている。そちらの方はさほど凝った作りではないが、それぞれ気ままに、平穏に暮らしているようである。


主人公のホームレス、鈴本さんは精力的に廃品を探す。空き缶はもちろん、町を自転車で回るたびにいろいろなものを見つける。公演が終わった劇団の前に佇み、不審顔の劇団員から小道具に使ったと思われる板をもらう。ついでに磁石を使って折れ釘を拾う。折れ釘は後で石の上においてたたき、まっすぐにして使うのだ。


いつも彼のために空き缶をゴミ置き場に置いてくれている家の前では、回収した後頭を深い下げ、持っている箒でゴミ置き場周辺を掃除する。


ラブホテルの事務所に行き、支配人に空き缶をもらえないかと頼み込む。彼の様子をしばらく観察した支配人はうちのホテルで働かないかと言ったらどうする?と訪ねる。鈴本さんは「お断りします」とはっきり答える。「案外いいもんです、今の暮らしは」と。毎日午前と午後4時間ずつ町を走り回る生活ぶりを聞いたばかりの支配人はしばらくして、店を3軒持っているから全部あんた専用にするよ、と言う。そして、1つだけ条件がある。もし、オレ

が破産してホームレスになったらあんたの仲間にしてくれるかい?、と。


一見平和そうに見える鈴本さんたちの暮らしにも、いろいろなことが起きる。役所から立ち退きをそれとなく進められたり、周囲に住む主婦たちに白い目で見られたり、子どもにロケット花火を飛ばされて鈴本さんの隣りに住む「画伯」の家がボヤを出したり。ホームレス同士なのに集めた空き缶を盗む者たちもいる。


そんなホームレスの生活と対照的な普通(に見える)家族の暮らしが時折挿入される。極度に潔癖症の母親、押し入れで亀を飼っている成績優秀な少年。威圧的な父親。模試の成績が全国で3位にもかかわらず少年は塾で「次はトップをねらいなさい」と言われ、押し入れの亀はある日突然死んでいる。水槽を温めていた器具のコンセントを誰かが(たぶん父親が)抜いたのだ。


鬱屈をためにためた少年が思いもかけない行動に出る。そして鈴本さんの暮らしは半ば壊されたようになる。


自分の「家」とはいったい何なのか・・・それを静かに淡々と、そして優しい視点で描いた秀作だと思う。鈴本さんを演じていた「いとうたかお」という人はフォークシンガーとして長いキャリアを持つ人らしい。絵本も何冊か出していて、詩人のような感性の持ち主かもしれないと推測する。俳優ではないが、鈴本さんという人はこの人しか演じられないのではないかと思えるほどいい表情をする。家族、家、豊かさとは・・・に感心のある方にはおすすめの映画だ。

| - | 22:42 | comments(0) | - |
鉢を奢る
13-0419

今でこそバラばかりのベランダになってしまったが、野草や盆栽(主に草物や小品)との付き合いの方がずっと長い。バラにかまけてそれらとの付き合いは以前ほど密ではなくなったが、バラの好みが年々原種に向かってきたのは木や野の草への愛着が根強く私の中にあることの証明だろう。


盆栽、というと松柏の立派なものを連想しがちだが、私は雑木の小さなものや草物を好む。今では数えるほどしかないし、これ以上置き場所がないので抑えているのだが、あと何年かしたらバラよりこれらの方が多くなっているかもしれない。


数は少ないがそれだけに気に入っており、芽が出たときの嬉しさはバラにひけをとるものではない。ただ、今まではごく普通のテラコッタの鉢に入れて育てているものが多く、さて部屋に置いて鑑賞しようとなるとちょっと味気ない。いい鉢があったら変えようと思いつつなかなか見当たらないのでそのままにしておいた。


先日、久しぶりに奥沢に行く用事が出来た。そうそう、奥沢には「品品」がある、と思いだし、用事が終わってから寄ってみた。以前も鉢を買ったことがあったので当てにして行ったのだが、果たして私が求めるようなものがあって満足。


盆栽鉢はいいものになると非常に高価だが、こちらで扱っているものは安価ではないが私にも手を出せる価格である。シンプルなので木や草が引き立ち、どこに置いても邪魔にならない。


さっそく、今年はたくさん花をつけているツリバナと冷遇がちなハゼを入れてみた。鉢を買うついでに買ってきたスナゴケを貼って出来上がり!なかなかいい形にまとまったので、これまた満足。

| - | 11:54 | comments(4) | - |
(相変わらず)落語三昧
13-0418

今月6日に三遊亭遊馬さんの独演会に行ったが、その時国立演芸場の4月中席がよさそうなので指定席のチケットを買い、今日行ってきた。来月は柳家三三(さんざ)さんたちが出る会にも行く予定があり、それ以外でも遊馬さんが定例でやっている焼鳥屋での落語会にも行く予定である。


レンタルのCDも先だって4枚借りてきて少しずつ聞いているし、「御乱心」(三遊亭円丈著)も古本を買って読んでみた。まだ読んでいない落語関係の本もある。ということで相変わらず落語三昧日々である。


ところで、落語を聞いたり見たりしているとわからない言葉が時々出てくる。主に古典落語においてだが、江戸時代が背景になっているため今では使われない言葉がたまに出て来るのだ。江戸の気分が感じられる言葉が多くてそれが落語の魅力のひとつになっていると思うのだが、なんとなく想像はついても正確な意味がわからないと気持ち悪いので辞典を買ってみた。つらつらと思い立つままにページを開いて読むだけでも楽しそうだ。


前回だったか前々回だったか、焼鳥屋の落語会で遊馬さんが「茶の湯」をやった。趣味人の息子に貼り合うように茶の湯を始める商家のご隠居の噺だが、そもそもなにを使うかさえおぼつかない始末。茶碗に入れる緑色の粉を小僧に買いにやらせると、「青黄な粉」を買ってきた。よしよし、とばかりに茶碗に入れて湯を差し茶筅でかき混ぜるが泡が立たない。どうしてだろうと思案していると小僧が「むくの皮」を入れればいいのではと提案する。


「むく」とは無患子(むくろじ)のことで皮にサポニンだったか泡立つ成分が含まれており、昔は石鹸代わりに使ったとか。それを私は知っていたので無邪気に笑えばいいのだが、知らない人の方が多いはず。だからなのか遊馬さんは「石鹸の粉末」だったか確かな記憶はないが現代人にも分かる言葉を使った。


ここいらへんが現代の落語家にとって難しいところだとは思う。わざわざ意味を説明していると噺の腰が折れてしまうかもしれない。が、説明しなければわからないかもしれない。さて、どうするか。


分かりやすいよう言葉を変える。やはりいちいち説明する。何も説明せず伝えられてきた言葉を使う。どれを選択するか迷うところなのではないかと思う。


個人的には、何の説明もなく流してもらうのがいいと思っている。わからないなりに済ませてしまえるならそれでいいし、知りたければ自分で調べればいいと思うのだ。江戸時代の噺なのに当時なかったものが出て来るとどうしても不自然さを感じてしまうし、いちいち説明されているとまだるっこしい。


今日のトリは桂歌丸師匠で「鰍沢(かじかざわ)」だった。これは三遊亭円生師匠他いろいろな先達がやっていて私も聞いているので人物描写がそれぞれ微妙に違うところが面白いと思った。


家にいる時は音楽を聴いていることより落語を聴いていることの方が多い。音楽は主に出かける時にiPodで聴いている。私の落語漬け、当分続きそうである。

| - | 18:55 | comments(0) | - |
三国連太郎さんを悼む
13-0415

あのCMでお見かけしなくなって、具合を悪くされているのかもしれないと思っていたところに訃報。


最近はだいぶ痩せられていたので「もしかしたら・・・」と思っていたのでさほどの驚きはなかったが好きな俳優だったので残念ではある。平均寿命以上を生きた大往生だとはいえ、あの姿をもう見られないのかと思うと淋しい。


若手の俳優の中にも「これは」と思う人がいないわけではない。が、スケールが違うと思う。緒形拳さん、原田芳雄さん無き今、あれほどの存在感を持つ俳優は稀であろう。


「飢餓海峡」は原作を何度か読み映画もDVDではあるが何度か見るほど好きな作品だ。逞しくしたたかな男を演じさせたら右に出る者がいないのではないか、と思えるほどのはまり役だったと思う。


「釣りバカ日誌」のスーさんも悪くはないが、個人的には「利休」が好きである。山崎努演じる秀吉に心の中では決して頭を下げなかった静かで強靭な茶人は三国さんにぴったりだった。レンタルで何度か見ているがまた見たくなると思うので、そろそろ買い時かなと思っている。


しかし、本当に俳優らしい俳優、存在感で他を圧するような俳優が少なくなった。山崎努さん、仲代達矢さんにはもう少しがんばっていただきたいように思う。


今日は別の話題にしようと思っていたが急遽この話に。三国連太郎さんのご冥福を祈りたい。

| - | 19:53 | comments(0) | - |
流郷由紀子スリランカ旅日記展
13-0414

以前もご紹介した流郷由紀子さんの個展が国立のギャラリーで開催されている。去年ペルーに2カ月近くお出かけだったと思ったら今度はスリランカである。1カ月くらい滞在されたとのこと、つくづくエネルギッシュな方だとひたすら感心。


3日目の昨日、午後早い時間にうかがうとたまたま誰も客は来ておらず、スリランカのお話をあれこれお聞きすることができた。バラの画家として名をはせる流郷さん、やはり植物には大変興味をお持ちのようで現地の植物の絵が多かった。風景も透明感のある水彩で描かれており、さすが何を描いてもご自分の世界にしてしまうなぁと思った次第。


布に描かれた作品、呉須で絵付けした器、バッグや傘など展示もバラエティに富んでいて楽しい。「旅日記展」の名の通り、横長の紙に旅の様子をさらさらと書かれたものも多数展示されている。


この個展が終わったら熊本のつくしいばらの自生地で、6月は松本で、7月に入って八ケ岳で、八月は北杜市の平山郁夫シルクロード美術館で、と個展は巡回する予定。ご自宅にいる時間があまりないのでは?と思うほどスケジュールがみっちりだ。旅もそうだが、いろいろな場所でいろいろな人と出会い、触れ合うことが流郷さんのエネルギーの源なのかもしれない。


●4/11〜4/16 アートスペース&ティー「わとわ」(国立)042-580-1047

●5/28〜6/2 ひとよし森のホール(熊本県人吉市)0922-22-4007

●6/14〜6/23  風雅(松本市)0263-25-8544

●7/19〜7/30 八ケ岳倶楽部(北杜市大泉町)0551-38-3395

●7/31〜8/12 平山郁夫シルクドード美術館併設「亜絲花」 

| - | 04:31 | comments(0) | - |
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