なにを見ても「きゃー!かわいい!」という若い女性の感覚に眉を顰めて久しい。「かわいい」以外の語彙を持たぬのかとうんざりする。10人中8〜9人が「かわいい」という形容詞を思いうかべるような対象ならいざ知らず、好みのものならすべて「かわいい」で済ませているのではないかとさえ思われていささか不愉快に感じている。
ところが、そう思っている自分が時々思わぬところで「かわいい」という言葉を使っている
ことに気づいてなんとも情けない。手軽に使えるからなのか、それとも「かわいい」以外の
言葉が浮かばないほど脳みそが退化してしまったのか・・・あれこれ考えながら、「かわいい」という言葉は思った以上に手強いと痛感した。
今や「かわいい」は「KAWAII」。世界共通の言葉になりつつあるという話もどこかで聞いた。「おしゃれだ」「センスがいい」「カッコいい」「イケてる」などなどがすべて「かわいい」に含まれ、「キモかわいい」「ブサかわいい」「ダサかわいい」と裾野を無限に広げている。
意識してできるだけ「かわいい」を使わないようにしようという私の決意も、いともたやすく砕かれてしまいそうだ。どうしましょ。
写真は私が「かわいい」と言ってしまったコブシメくん。甲イカの中では最大級のサイズで、大きいものは50センチを超えるという。鳥羽水族館のコブシメはけっこう立派なサイズで、胴体の周辺についたヒレのようなものを細かく動かしながら水槽を泳いでいる。半分寝ているような目がいい。少し目を開くと凶悪そうな顔になるところもいい。でも、よく見ると口がけっこう大きくてちょっと怖い(^.^;)