3.11東日本大震災から51日目
山野草ばかり育てていた頃が長かったが、何故かサクラソウの仲間には手を出さなかった。山野草の世界で「サクラソウ」というと主に日本桜草を指し、高山性のもの、湿地に生きるものなど植生は様々だ。
春の展示即売会などに行くと、様々に品種改良された日本桜草の花を見ることができる。雪割草などと同様日本桜草にもマニアが多いらしい。趣向を凝らした名前をつけられ、ずらりと並べられている苗をじっくり見ている中高年男性が多い(男性ファンの方が多いような気がする)。
日本桜草を見ると、いかにも可憐で華奢で日本人の美意識にぴったり合う花だと思う。一人娘のように、大切に育てたくなりそうだ。しかし、その可憐さに目を細めながらも、何故か私は手を出そうとは思わなかった。
その理由がなんとなく今年になってわかった。色である。薔薇を育てながら最近わかったことは、私は中間的なピンク色の花はあまり好まないのだ。ごく淡いピンクか紫や臙脂に近いピンクならいい。桜草の典型に見るピンクがなんとなく苦手なのであった。
この推測は洋種のサクラソウであるカウスリップを手に入れたことによりはっきりした。春を告げるこの黄色いサクラソウを私はいたく気に入ったのだ。咲季山草軒から送られてきた立派な苗は、どんどん花茎をあげてきてまだまだ楽しめそうである。見るたびにいいなぁ、庭にまとめて植えたら見ごたえがあるだろうなぁと思う。黄色ならいいのだった!
そうしているうちに、別の方から小さなカウスリップをいただいた。以前私がカウスリップがいいとブログに書いたことを覚えていてくださったのだ。小さければ小さいなりにとても可憐でこれがまたいい。昨年八重咲きのカウスリップを手に入れたものの冬に乾燥させ枯らしてしまったが、やはり私は一重の花が好きだ。
洋種のサクラソウといえば、いわゆる「プリムラ」の名前で販売されている。「プリムラ・ポリアンサ」「プリムラ・ジュリアン」「プリムラ・オブコニカ」「プリムラ・マラコイデス」・・・色も黄色、赤、ピンク、オレンジ、紫、と多様であるが、これは私の守備範囲外。花が大きすぎるし、多すぎる。
そういえば、亡父が洋種のプリムラ(たぶん、マラコイデス)をたくさん増やしていた。最初は苗で購入したのだと思うが、その種を蒔いてプランター5つくらいまで増やして外壁沿いに並べていた。花の時期に行くと、壁沿いにあのピンクの帯ができていたことがなつかしい。
「お父さん、こんなに増やしてどうするの」というと、「少し持っていくか?」と。好みではないので、「うーん、置き場所がないからいいや」と婉曲的に断ったが、少しくらいもらっておいてもよかったかなぁと他界して10年以上経ってから思う。