用事があって横浜に出た。東急ハンズ〜ジョイナスのMUJI〜高島屋に入っているホビーラホビーレと昼食を食べるのも忘れて回り、外に出たらもう薄暗くなっていた・・・
ご存知の方もいると思うが、ホビーラホビーレは全国展開しているハンドメイド関連のショップで、オリジナルの毛糸やリバティプリントの布、手芸キットなどが豊富に揃っている。20代のころは、確か銀座のコアビルの中に入っていて、セーターの編み図などを購入したように記憶している。
先日紹介した「手芸店カタログ」でも紹介されていて、いつ行っても欲しいものが多い。今日は毛糸やセールになっていたツイードの生地などを購入。
見ているだけでも楽しいので、いつも店内をゆっくり見ているが、今日はちょっとおかしいオバチャンを発見。まず毛糸コーナーで店員にかなり執拗に商品について質問していた。声が大きい上、店員のことを「おねーちゃん」と居酒屋に来るオヤジみたいな呼び方をするので、どうしても目立ってしまう。
あちこちかなりゆっくり見て回っていたので、オバチャンはもう帰ったと思っていたら、私のレジの隣で精算していた。どうやら展示してあるソックスを編む糸を選んでいたらしく、カゴの中には思いがけないほどいい色合いの糸が入っていた。「オバチャン、なかなかやるなぁ」と思っていたのだが・・・
店員が「6282円です」と言うと、まず千円札を7枚出し、「おねーちゃん、ちょっと待って」と 言ってがま口を取り出した。ブツブツいいながら、「一円玉ないわ、おねーちゃん」と言いながら、百円玉を投げるようにトレイの中に入れた。
店員が「では、7300円お預かり・・・」と言いかけたところで、オバチャン、バッグから商品券の束を取り出してきた。千円の商品券が10枚綴りになっている全国百貨店共通商品券で、「おねーちゃん、これ使える?」と。
使えると聞くと、「じゃ、こっちにするわ。悪いね、おねーちゃん。」と商品券をそのまま店員に渡す。店員は「おつりも出ますが、7枚いただいておつりをお渡しするということでよろしいでしょうか?」と聞いたが、「へー。おつり出るの。ふーん。じゃ、そうしてくれる、おねーちゃん。これからシーツを買うから」とわけのわからないことを言い、ついでに「シーツ売り場とこ?」と聞く。「1階上でございます」と言われ、「あ、そう。シーツ買わなくちゃいけないからね」とまたまた。
店員がおつりを用意して渡そうとすると、オバチャン、レジの近くの売り場に逆戻りして何かを熱心に見ている。店員はしばらく待っていたが、オバチャン、何かを手に取りブツブツ独言を言っている。
仕方ないので店員が近づくと、「あ!そうだ!あれある?あれ。バイアステープ!」と来た。ホビーラーホビーレは趣味性が高いものばかり置いているので、実用的なものはあまりない。が、オバチャンはそんなことおかまいなしだ。
店員がリバティプリントなど洒落たバイアステープがあるところに連れていったが、オバチャンが欲しいと思っていたバイアステープでないことは想像に難くない。「ええーっ!ないのー!ここなら絶対にあると思っていたのにー。だめだよ、置いておかなくちゃ。ズボンの裾を直す時なんかによく使うものなんだからさー、ねー、おねーちゃん」
オバチャン・・・ここはね、ズボンの裾を直すためのものまで取りそろえているような店じゃないのよ。そういうのはね、地元の商店街を探した方がいいと思うよ・・・と、心の中で言ってみたものの、たとえ誰かがそう言ったとしても、オバチャンが納得するとは思えない。
黒のバイアステープがないことをさんざん嘆いていたが、気はいい人なのかもしれない。最後は「ありがとね、おねーちゃん」などと言い、シーツ売り場を再度確認した後出ていった。最後に「また来るからさ、これ(ソックス)うまく出来たら見せにくるよ。ほら、こんなにうまく出来たよってさ。で、その時までに黒いバイアステープ入れておいた方がいいよ、ほんと、絶対いいよ」と言ったのには、笑ってしまった。
こういうオバチャンには店員だけでなく、ほとんどの人が勝てないと思う。ちょっと迷惑かもしれないが、自分の考えを信じて疑わず、言いたいことだけ言って相手が言っていることの意味を考えようともせず、だけど悪気は全くなく・・・
ああ、オバチャン・・・今度来た時に黒いバイアステープがなかったらどうするの?その時のオバチャンを見たいような、見たくないような。でも、その調子でいつまでも元気でいてね。