2008.09.30 Tuesday
異端好き
・・・肌寒い雨の日も2日目。明日はそろそろ上がって欲しい・・・
「闇の絵巻」に続き「空蝉の花」(澤田ふじ子著)に手を付け、もうすぐ読み終わる。二度目だが、最初に読んだのが相当前なのではじめてのように楽しんでいる。
「空蝉の花」の主人公は、大住院以信。二代目池坊専好に才能を見いだされ、高弟をさしおいて法院(専好)から継職を期待されるが、嫉みそねみは強く、苦難が続く。それでも、細心の注意と法院の配慮と、そして何よりも類い稀なる才能によって頭角を表し、後継者として認められる日も近いと思いきや・・・
時代は徳川家光から家綱のころ、徳川幕府も安定しはじめ、華道の世界においても実力主義から血脈主義へと動きはじめていた。それが以信にとって最大の不運だったのではないだろうか。
頼みにしていた専好は、江戸に行っている間に池坊の行く末を気にかけつつ死に、残った高弟たちは専好の弟である専存を担ぎ上げて以信を排除、専存の死後もその子専養が後を継ぎ、以信は結局池坊と縁を切るしかなくなってしまう。以信は最後まで、池坊にとって異端であり続けたということだろう。
異端であり続けた以信ではあったが、その仕事は紛れもなく最も明るい光彩を放ち、江戸城や大名家において立てたダイナミックな「砂物」の立花図は今に残っている。
先日読んだ「闇の絵巻」の長谷川等伯も、狩野派を主流とするその世界にとっては異端であり、数々の不遇を経てなお、その仕事を後世に残した人だ。
どうも私は、若いころから「異端」に惹かれるところがある。脈々と続いてきた正統には、続いてきただけの理由があり、なまじっかなことでは土台から揺るぐこともない。その土台を揺るがせるだけの才能を持って現れた異端・・・ある意味破壊力ともいうべきそのパワーと、反骨精神と、なによりもそのキラキラした才能に惹かれる。
彼等の多くは、多勢に無勢の状態で正統に戦いを挑み、遺恨を残して消えていった人も多いと思う。ゆえに私の中における「異端」イメージにはある種の悲しさがつきまとうが、それゆえさらに彼等を贔屓したくなるし、名を残した者たちのことは忘れたくないと思うのだ。
*華道の世界なんぞ、ちっとも興味がなかったが。
*ちょっと知りたくなってきたぞ。
*とりあえず、次に読む本として「花僧〜池坊専応の生涯」を買ってきた。
*琳派を特集している美術手帖も。
*別冊太陽も2冊。利休と内田百間。重かった・・・
*それにしても、本の置き場所が・・・(T_T)
*さて、明日はたまっていた仕事を片づけることにしよう。
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