2008.04.30 Wednesday
富士
・・・奇を衒った写真か否か。見る人の資質にお任せする・・・
午前6時前に家を出て町田に向かい、そこから車で河口湖に向かった。湖近くにあるハウススタジオでの撮影立ち合いが今日の仕事である。
途中事故で渋滞したが、高速に入ってからは車の流れも順調であっという間に河口ジャンクション。目の前に現れた富士山は思ったよりも雪が多くやや霞んで見えた。これだけ富士山に近づくのは本当に久しぶりだ。わが家の近くからでも遠く富士を望むことはあるが、富士5湖あたりから見る富士の迫力は格別である。
若いころは富士山にほとんど興味がなかった。日本一のお山・・・あまりに有名であまりにその姿を知られていて・・・なんだか俗っぽさの権化であるような気がしてどちらかというと富士山を称賛する声を軽蔑していたかもしれない。大宰が「どうにも註文どほりの景色で」恥ずかしくなった、と書いた気持ちがよくわかるような気がしていた。
ここから見た富士は、むかしから富士三景の一つにかぞへられてゐるのださうであるが、私は、あまり好かなかつた。好かないばかりか、軽蔑(けいべつ)さへした。あまりに、おあつらひむきの富士である。まんなかに富士があつて、その下に河口湖が白く寒々とひろがり、近景の山々がその両袖にひつそり蹲(うづくま)つて湖を抱きかかへるやうにしてゐる。私は、ひとめ見て、狼狽し、顔を赤らめた。これは、まるで、風呂屋のペンキ画だ。芝居の書割だ。どうにも註文どほりの景色で、私は、恥づかしくてならなかつた。(富嶽百景)
しかし、ある時キャンプをするため河口湖に向かった時、突然現れた富士山の姿に思わず感動してしまった。やはり富士山は他の山とは違う、と思った。やはりダントツに美しい山だと思った。いやぁ参ったなぁ・・・というのが本音であった。
今日久しぶりに富士山を見て、かつて感じた心地よい敗北感のようなものを思い出し、思わず口元が緩んだ。そして、幼かった息子と富士を仰ぎながら歩いた北富士演習場の草原に思いを馳せ、過ぎ去った年月の長さを思った。
*けっこうどっぷり疲れましたわ。
*でもまあ、行き帰りは車だしラクチンな方だと思いますけど。
*スタジオはクラシックな作りでなかなかよかった。
*やはりこちらよりは気温がかなり低い。屋内は寒かったもん。
*ロケ撮影はいいね。緊張感も開放感もあって。
*さて、明日は少しゆっくりするかな。
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