一昨年あたりから画家をテーマにした映画が多く上映されている・・・ような気がする。いちいち記録していないので数まではわからないが、「あ、まただ」と思ったことは覚えている。見たいと思っていたものの見逃してしまったものもある(たとえば、「ゴッホ最後の手紙」など)。
昨日は数あまた存在する画家の中でもかなり不思議な絵を書いた画家を取上げた映画を観てきた。このところ展覧会ばかり行っていて映画をチェックしわすれていたのだが、危ういところで気づいた。セーフ!
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観たのは「謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス」である。以前、「バベル」展について書いた時(昨年4月23日)にも触れたが、かの「快楽の園」を描いたと言われている画家だ。この絵の不思議さについては今までもあちこちで取上げられているが、今回の映画もまたその謎の奥深さに観る者を誘う内容になっている。
そもそも、ヒエロニムス・ボス本人についての記録がほとんどない。どういう人だったのか全くといっていいほどわからないのだ。没後500年、現存する作品は25点のみ。肖像も自画像もないのだ。
「快楽の園」(この題名も後から付けられたもののようだ)はボスの代表作にして美術史上最も異才を放つ傑作として知られている。所蔵しているプラド美術館の全面協力を得て作られたのが今回の映画で、各界の知識人たちが思い思いに絵について語るという構成だ。
歌手、音楽家、作家、歴史家、哲学者、漫画家、美術史家、神経科学者、修復家、学芸員・・・「快楽の園」を詳細に観ながら、ある人は分析し、ある人はひたすら驚き、ある人はさらなる謎を発見する。多彩な反応を見ているうちに、この絵ははじめから鑑賞者にゆだねるつもりで書いたのではないか、あるいは系統的な謎ではなく断片的な謎をいくつも象徴化してボスだけにしか作りえぬ世界を描いたのではないか、などと思えてくる。
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それにしても見れば見るほど興味深い絵である。色やフォルムは美しいが、ひとたび「これは何だろう?」と解釈しようとすると奇妙なこと限りない。いつまでも見ていたくなる、見ているうちに別の世界に入り込んでしまいそうな絵・・・「悪魔のクリエイター」と呼ばれたこともあったという話にも頷けるものがある。
また、この絵が祭壇画として描かれたということにも興味を覚える。とてもじゃないが、おごそかな祭壇に掲げられるような絵ではないように思うのだが、たとえば日本にも「地獄絵」のようなものがあるわけだから不思議ではないのかもしれない。しかし、おぞましさもまたすべて寓意的に表現されているものだから、意図がわからず見るものはそこでずっと立ち止らざるをえなくなる。
悪魔的といえば悪魔的なのかもしれないが、私はそういうものに滅法弱い。実際にじっくり見てみたくなる。また、三連の祭壇画なので普段は閉じられているこの絵の扉がゆっくりと開かれていくところも見てみたい(映画ではそんなシーンがある)。かなりワクワクしそうだ。
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先日横浜美術館に行った時、ミュージアムショップに展示されている(もちろん販売もしている)ボスの絵に出てくるキャラクター(?)のフィギュアを見てきた。まだあってよかった。いつか一つか二つは欲しいものである。
映画とは全く関係ないのだが、今回も利用した映画館にはスタンプカードがあり、1年間で8個スタンプがたまると1作品無料で見られる。昨日で8個になったのだが、期限が明日まで(^^;) さて、どうするか。見たいものもあるので、また行こうかな。
“tree man”と呼ばれている奇妙な登場人物(?)