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“ゆずりは”の仕事、手仕事

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昨日は表参道の蔦サロンで開催されている「手仕事の原点“東北とラオス”」を見に行ってきた。古いビルの中に入り、靴を脱いで階段をのぼっていくと様々な手仕事作品が展示された畳敷きの空間に、美しく着物をきこなした女性が凛と座っていた。十和田湖畔休屋にある「暮らしのクラフト ゆずりは」(以下「ゆずりは」)のオーナー、田中陽子さんだ。

十和田湖畔の店に連れていってくれたのは、花鳥渓谷の木村暢子さんだった。それだけでも思い出深い、いつまでも心に残る店なのだが、それをのぞいても店が扱う物の確かさ、見る目の深さを最初から感じていた。その後何度か十和田を訪れる機会があり、都合がつく限り店に立ち寄ったが田中さんにお会いするのは今度がはじめてだ。なぜなら、田中さんは東北の手仕事の素晴らしさを伝えていくため、日本はもとより海外にも出かけていくことが多く店には不在がちだから。

リンク先を読んでいただければわかるが、田中さんは旅館の後継者の元に嫁ぎ、地元に貢献する事業を担当。十和田湖を囲む青森、秋田、岩手の職人さんたちを3年間訊ね歩いた。そんな中で培った人脈を生かし、1989年わずか6坪の「ゆずりは」をオープンさせた。

仕事が軌道に乗りかけた時、田中さんを病魔が襲った。「中耳結核」という難病だ。それでも仕事を続けていると、今度は癌が見つかり手術。精神的に追いつめられて鬱病にまでなってしまったという。そんな時に目にしたひとつの記事が「高い精神性と篤い信仰心に育まれた手仕事の残る国、ラオス」。医師に止められたがそれもものともせず、病身をラオスに向けた。

ラオスは田中さんにとって特別な国、場所なのだろう。そしてその時出会ったラオスの人々、肌で触れた文化や暮らしが田中さんを救い、勇気づけたのかもしれないと想像する。また、東北の素朴で忍耐強い人々によって受け継がれてきた手仕事に触れてきた田中さんだからこそ、深い共感を感じたのかもしれない。

昨日の展示はそんなラオスの布と東北の布(白鷹紬、紅染、からむし織などなど)を集めたもので、さすがにいいものがたくさんあった。雨模様で客が少なかったこともあり、いろいろな話をお聞きすることができてとても充実した時間を過ごすことができた。

少し前から、私はfacebookで「ゆずりは」の活動をフォローしており、田中さんが精力的に東北の手仕事を伝える活動をされていることを知っていた。しかし、実際にお会いしてお話を聞くと1人の女性としてのきめ細やかな感性、経験が培ってきた度量の広さ、柔軟さを実感した。ステキな人に会えることはステキな物と会えることより一層幸せな気持ちにさせてくれると思った。

前にも何度か書いたかもしれないが、私自身のルーツのようなものは「北」にあると感じている。日本でいえば北海道か東北(とくに青森)。まだまだ手が出るものはないが、これからは東北の手仕事から生まれた織物で仕立てたきもの、帯を身に付けていきたいと思う。たぶん、それが私にとって一番自然であり、ということは一番しっくりすることであるように思える。

田中さんからはきものについてもいろいろお聞きした。曰く、いいものをできるだけ多く見ること。可能であるなら見るだけでなく触って感触を確かめることが大切。曰く着付けは人それぞれ合うやり方があるので、教室で習ったことにこだわりすぎるのはよくない。等々。

着付け教室に通いはじめ、私自身いろいろ考えているところだった。着付けの順番や手法(手の使い方や使う道具など)が決められているわけだが、家に帰ってもう一度やってみると自分なりにやっても結果がよければいいのではないかと思いはじめていたのだ。さらに1ヶ月通おうかと迷っていたが、あと2回通ったらその後は自分であれこれ試してみたいと思うようになった。必要性を感じたらまた通えばいいだけのこと。

昨日の雨は雷まで鳴り響いてかなり激しい雨だった。が、一時の雨で夕方にはあがり、初夏の緑が瑞々しかった。ああ、いい出会いだったと思いつつ、通勤ラッシュの電車に揺られて帰宅した。

| - | 05:42 | comments(0) | - |









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