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「春日権現験記繪」

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宮内庁三の丸尚蔵館で開催されている「春日権現験記繪」を見に行ってきた。春日大社の守り神である春日権現の出現からはじまる様々な霊験記を絵巻物の形にしたもので、成立年もたずさわった人たちの名も顕かになっており、美術品であるだけでなく貴重な歴史的資料といっていいだろう。

目録に記された日付は延慶2年(1309年)3月。藤原氏一門の左大臣・西園寺公衡が制作と奉納を計画し、絵が宮廷絵所預の高階隆兼、詞書を前関白鷹司基忠父子4人が担当。上質な絹布にこれまた上質な顔料絵具を使って描かれており、その絵の鮮やかさには目を見張るものがある。鎌倉時代の絵巻物が一場面も欠けることなく残り、装幀や収納箱も当時のものということで管理していた三の丸尚蔵館が13年の歳月をかけて修理を行った。この度の展覧会はその修理が完成した記念として開催されている。

人々が身に付けている衣服の表現が見事だ。公家の豪華な衣装は細部に渡って詳細な表現がしてあり、着ているものでだいたいの身分がわかるのもおもしろい。動きや表情も近づいて観察してみるとイキイキとしていて絵巻物の魅力を存分に楽しむことができる。建物、庭や森の木々、鹿や鳥たちなどの動物も小さいものから大きなものまで丁寧に描き込まれ、制作者たちの中になにか祈りのようなものを感じ取る。

今後も保存と公開のバランスを取りながら展覧会を行うようなので楽しみだ。今回の展示は10月21日まで。絵巻物好きを標榜している私としては、やはり完成記念を祝う気持ちをこめて出かけてきたが、行けない方々は次回をお楽しみに。なお観覧料は無料。

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