昨日も少し触れたが、青山ブックセンター(通称ABC)の六本木店が来月25日をもって閉店するという。とうとう・・・という感が強い。出版不況と言われて久しい昨今、若い人を中心に様々なかたちの小さな書店が散見されるようになった一方、ある程度の広さで総合的に書籍を扱うところはかなり苦しいのではないかと思っていた。蔦屋書店のような新しい切り口の店もできているが、やはり昔ながらの形態で営業する書店の安心感も捨てがたい。
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ABCは好きな書店だ。さほど頻繁に通ったというほどではないが、今回閉店する六本木店(私はここが本店だと思っていた)、青山本店、そしてだいぶ前に閉じてしまった自由が丘店には時折足を運んだ。広告・デザイン・芸術関連の本が充実しており、本だけでなくちょっと洒落た小物なども売っておりそれらを見るのも楽しみだった。書店なのに本以外を扱う、というのは今でこそよく見かけるが、ABCがはじめてだったのではないだろうか。
カフェ併設の本屋でくつろぎながら本を読んだり選んだりするものいいと思うが、私なんぞの年代からすると、天上まである本棚にぎっしり詰まった本に圧倒されつつ、目の前に広がる知の海に溺れそうになりながら本を選ぶ楽しみは忘れ難いものだ。
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丸善の1フロアで展開されていた「松丸本舗」もなくなった。ABCも本店はまだ残るようだが、私が一番好きだった六本木店がなくなる。20代後半のころ勤務先が近かったのでよく行った銀座の旭屋書店、渋谷東急プラザに入っていた紀伊国屋書店、洋書が充実していた銀座のイエナ・・・印象に残っている本屋が次々となくなり、思いでの中にだけ存在しているのは実に淋しい。
こうなったら、ジュンク堂にはがんばってもらいたい。池袋というほとんど縁のない街にあるのであまり行くことはないが、それでも好きな本屋だ。個人的な好みだが、だだっぴろい1フロア展開よりも各フロアはさほど広くなくてもジャンルごとに分かれビル全体が売場になっているような本屋の方が好きなのだ。
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勝手なことを書いている、と自分でも思う。閉店した本屋はなぜ営業を終わらせなくてはならなかったかといえば、利益減が主な原因だろう。なにかというと某所にポチッとな!をしてしまう私も、数々の閉店の原因のひとつに違いない。
若いころ、友人との待ち合わせはたいてい本屋だった。少しくらい遅刻しても気にならないからお互いに気楽だったということもある。特別目的がなくても本屋に行って1時間くらい過ごすことも稀ではなかった。私のような人間は他にもいたと思うが、それらの人が徐々に減ってきたこと、本屋という業態の存在感がインターネットの登場で薄れてきたこと、そして電子書籍の登場。書店経営にとって環境は悪くなる一方で気の毒だ。気楽に「がんばってほしい」などと言える立場ではないのは重々承知しているのだが・・・
これからはできるだけ本屋に足を運び、1冊くらいは買って帰ることにしようと思う。小さな「町の本屋」も、足を運んで買うという方法で応援したいと思っている。
*ジロ・デ・イタリア、始まっているんだよなぁ。
*今年も見られない。く、く、悔しい。ダ・ゾーンと契約するのもナニだしなぁ。