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あまりに若返ってしまった、ペペちゃん

17-1004-1.jpg

8月末に修理に出したペペちゃんが先月末に届いた。連絡メールでは2ヶ月かかるということで11月になってからだと思っていたのだが、意外なほど早かった。到着してすぐ箱を開けるのが怖くてしばらくそのままにしておいた。ひどく傷んでいたとはいえ50年もの間ともに過ごしてきたのである。ここ20年ほどは箱の中に入れたまま放置状態になっていたとはいえ、私にとっては特別愛着のあるぬいぐるみであることは変わりない。久しぶりに箱から出してきてそれをひしひしと実感した。

だからこそ、どのように変わって帰ってきたかを思うと怖かったのだ。修理の注文をする時には、できるだけ元のイメージを変えないように頼んだつもりだった。どうしても変えなくてはいけない素材があれば、可能な限り不自然にならないように、とも書いた。だが、修理内容を思うと不安はかなり残っていた。

注文に関するやりとりで、だいたいどのような修理をするかは知らされていた。すべてを分解して洗い、中味を新しいものにする。耳の内側、口周り、手足の先はすり減ってこれ以上もたないので別の布に変える。そのまま活かす素材もかなりもろくなっているので裏貼りをする。これだけ見てもかなり手がかかる修理だということがわかる。あえて修理代金は書かないが相当な金額になってしまった。見積もりをもらった時点であきらめかけた。それほどの金をかけるほどのことはないと思ったのだ。ボロボロのままでも、なんとか私が死ぬまでは存在しつづけられるだろう。それでいいのではないか、と。

しかし、こういう時になるといつも助けてくれる家人が「直せばいいんじゃない?」と言ってくれ、費用を出してくれることになった。いい年をしてぬいぐるみごときに愛着を持つ私を馬鹿にすることなく、援助してくれたこと、大いに感謝している。

さて、いつまでも開梱せずにいるわけにもいかないので勇気を出して(!)箱を開けた。「う。」しばらく声が出なかった。思い通りに、見事にでき上がってきたから・・・ではない。まるで別物になっていたからである。洗って縮んだのかもしれない。全体的に一回り小さくなった様な気がした。それはまあよい。一番変わったのは顔で、どこにでもある「かわいいクマさん」になっていた。口は黒い糸で「へ」の字だったので連絡メールでもそう書いたのに、赤い小さなベロがついていた。なんとしたこと!

思いもかけないことにショックは大きく、恥ずかしながらしばらく呆然としてしまった。耳の裏や手足の先の部分も「真っ白にはしないでくれ」と書いたのに白い素材が使われていた。少し腹立たしくなったが、丁寧な仕事であることは認められたし、今さらクレームをつけてもどうにかなるものでもない。

「かわいい」というよりも「元気でやんちゃ」なペペちゃんだったのに・・・しくしく。とりあえず口だけはどうにかしないと!とベロを切り落とし(すまん・・・)黒い糸で「へ」の字の口にした。平面ではないのでゆがんでしまったが、まあよい。それで少しはマシになった。あとは自分の気持ちを整理するだけだ。

翌日になっても、ペペちゃんはペペちゃんではないように見えた。しかし、自分で決めたことである。いついまでもグチばかり言っていても仕方ない。丸くきれいになった耳を少し歪めてみたり、以前とは違った縫い方がされていたしっぽを取って直したり・・・時間が経過するにつれて、かなり若返ってしまったが、これはまぎれもなくあのペペちゃんなのだと思うことができるようになった。

そこで気を取り直してズボンを作ることにした。手持ちの毛糸でピンとくるものがなかったが、マフラーを作ろうと思っていた糸の色が似合いそうだったのでそれを使うことにした。藍色の細いブークレ糸でいろいろ試してかぎ針編みにし、同じ糸でズボン吊りを作った。前にもつけていた蝶ネクタイ(小学校5年生の時に作ったもの)はリボンとフェルトだったが、今回はワインレッドのビロード。シックな色目で少しは「かわいい」感じが薄れればいいと思ったのだが・・・

考えてみれば、50年物の傷み具合が「元気でやんちゃ」」なイメージをさらに強めていたのかもしれない。ボロボロになった凄まじさが。買った当時は思っているより「かわいいクマさん」だったのかもしれない。そう思うことにした。あと50年、というわけにはいかないができるだけ触ったりしてボロくしていけば、若すぎるペペちゃんも少しずつ年をとっていくことだろう。ね、ペペちゃん!

17-1004-2.jpgシッポもちゃんと出るようにしたぞー

| - | 06:03 | comments(6) | - |
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