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カラスがますます好きになる。

17-0707.jpg

・・・かわいいカラスのイラストは、植木ななせさんという方の手になるもの・・・

 

カラスの教科書」(松原始)を読み終えた。読みやすく面白い本で(私がカラス好きだからだろうが)、ますますカラスが好きになった。マンション裏手の山では現在若いカラスが非行訓練中のようで、まだ高く飛び立てないのか毎日低空飛行などをしながら幼い声で鳴いている。大人のカラスなら「カァ!カァ!」となくことが多いが、若いカラスは「カァァァ」というように声に甘さが残っているような気がする。

自称「カラス屋」の著者なので、当然ながらカラスについての知識満載である。たぶんこうなんだろうなぁと想像していたことが当っていることもあるが、やはり知らなかったことの方が断然多い。たとえば、一口に「カラス」といってもそれは仲間を表す名称であり、「カラス」はスズメ目カラス科カラス属の総称で、カラス属には約40種類ほどがおり、「カラスらしいカラス」がそれらに当るのだという。同じカラス科でもカラス属ではない鳥は私たちが思う「カラス」と近縁だとは思えない。カケス、カササギ、オナガなどがこれに当る。

私たちが知っているのは、主にカラス属の中のハシブトガラスとハシボソガラスだろう。当地(横浜市)あたりでは断然ハシブト君が多く、いつも立派な嘴だなぁと思う。しかし、ハシブト君はハシボソ君より嘴の使い方が不器用らしい。ハシボソ君はどちらかというと里山エリアに多く、ハシブト君は都市部に多いようだ。

この本には「カラス愛」が溢れているので、いちいち「そうだ、そうだ!」と言いたくなる。カラスが何故こんなに嫌われ者なのか・・・常日ごろ憤慨している私は溜飲を何度も下ろした。たぶん、たいていの人はイメージ先行でカラスについての知識はほとんどない。ほとんど知らないのに知っているつもりになっており、勝手なカラスイメージの元にカラスを嫌っているのではないだろうか。

たとえば、カラスは襲ってくるから怖い、というのがある。私はかなり接近したことも何度かあるが、一度も襲われたことはない。カラスが人を攻撃するのは(攻撃というほどのことでもないと思うが)、ほとんどが巣立ち前か巣立ち直後の雛がいる時であり、雛に近づく者に対する警戒心から頭上を飛び交ったり足で蹴ったりするとのことだ。

しかも、カラスは巣に近づいた人間、あるいは巣の方をじっと見ている人間を最初から蹴るわけではない。カラスも野生動物だから人間に対してはかなり臆病であり、最初は声を出して「近づくな!」と警告する。それでもダメなら人間の頭上を飛び交う。それでも近づいてきた時、やむなく足でポンと人間の頭をたたく(蹴る)。何故頭かといえば、カラスから見れば一番近くにあり、逃げやすいからだ。

人間は子育て中のカラスよりのほほんとしているから、警告のために鳴いていても気づかない。頭上を飛び交っていても気づかない。だから、「いきなり蹴られた!」となるらしい。子どもを守るために、カラスはあえて危険を犯しているのである。少しくらい蹴られたからといって、カラスを嫌うな!ぷんぷん!と柄が悪くなる私。

カラスが嫌われる理由のトップは、たぶん彼らがゴミを漁るからだろう。しかし、ゴミは人間にとってのゴミであり、カラスにとってはゴミではない。生きていくための大切な糧である。そして、あまりより好みすることなく、実にいろいろなものを食べるらしい。ゴミのネットの網目に嘴を突っ込んでビニール袋を破り、中から生ゴミなどを引っ張り出して散らかし、飛び去っていく・・・散らかったゴミ集積所の様子を見れば「カラスめー!」と怒りたくなるのかもしれないが、私から見れば悪いのはカラスではなく、いいかげんなゴミの出し方をする人間の方である。ネットの掛け方がいいかげん、ネットの外にゴミを出す、ネットの網目が荒すぎる・・・問題はゴミを出す方にある。

言い出したらキリがないのでこれくらいにしておくが、カラスに限らず人間は自分たちに非があることを他の動物のせいにしすぎると思っている。また、ほとんど何も知らないのにイメージだけで決めつける。黒くて大きなカラスを見れば「不吉」というイメージを浮かべるし、カラスがスカベンジャー(腐肉食動物)であるがゆえに「気味悪い」「気持ち悪い」と思う。しかし、自然界においてスカベンジャーの存在意義は大きいのではないだろうか。生態系にとってスカベンジャーは大切な役割を担っていると思うのだが。

さほど近くにいるわけでもないのに、カラスが数羽フェンスなどにとまっていると「きゃー!カラス!こわいぃぃ!」などと妙な声をあげるお姉さんたちよ。カラスだって好きであのような外見に生まれてきたわけではない。あなたたちが好きでそんな顔に生まれてきたわけではなのと同じように。ひひひ。こうなったら続編である「カラスの補習授業」も読まねばー!

17-0707-2.jpg著者・松原始さんのデッサンはさすが「カラス屋」!

 

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