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薔薇の季節に・・・

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いよいよ薔薇のハイシーズン到来、ということで全国各地のバラ園、バラが多く植えられている公園などの様子が新聞で紹介されている。オープンガーデンが催され、薔薇好きは何かと忙しい日々を過ごしているのではないかと思う。

薔薇に魅かれ、薔薇に夢中になった時期を過ぎて今私の元にあるものはごく限られたものに過ぎない。薔薇熱とでもいえそうなあの時期に比べたら、今はかなり静かな気持ちで薔薇を見ることができる。しかし、この季節を迎えると、静まっていた気持ちがふっと高まったり、かつてを思い出して切なくなることもまたある。

薔薇に関しては、私はけっこう駆け足で通り抜けたような気がする。最初は何にでも興味があってあれこれ手をだしていた。きっかけはミニバラだったのだが、イングリッシュローズに手を出したこともあるし、様々な系統のオールドローズを手に入れてきた。希少品種や謎の多い品種を求めてオークションを何度も利用した。そして3年後に落ち着いたのが原種の薔薇である。最後は原種に帰ると言われているが、私は3年で原種にだどりつき、原種の素晴らしさを知るとともにベランダという極端に限られた場所で育てることの難しさを思い知った。

難しいと思ってもあきらめることができず、かなり悪あがきしたと思う。原種以外でも、私は何故かのびやかに伸長する薔薇が好きで扱いには苦労した。しかし、私の苦労などどうでもいいことなのだ。自分の欲でやっていることだから。かわいそうなのは薔薇で、私の強引なやり方に静かに従いつつ、あるものは消え、あるものは手放された。

そういった日々を重ねているうちに、私は自分自身がいやになってしまったのだ。分相応に愉しむことができないなら、いっそのことやめてしまった方がいいと思った。幸い、大切にしていた薔薇の多くは何人かの友人が気持ちよく引き取ってくれた。しかし、まだ完全に枯死していないのに裏山に捨てたものもある。罪悪感と欲望の狭間に立ち続けた結果、薔薇から離れることにしたのだった。

そうはいってもどうしても手放せないものはあって、それだけは大切にしようと思っている。年々体力が落ちて植え替えはなおざりになり(詳しくは書かないが庭での植え替え作業とは比較にならないくらい手間と体力が必要なのだ。わが家の場合)、肥料もこまめにやることもなく現在に至っているが、それでも時節がくると花を咲かせてくれている。ありがたいと思い、今年こそもう少し手入れしてやらねばと思う。

しばらくの間新しい薔薇は迎えていなかったが、昨年新苗で手に入れたものが予想どおりいい雰囲気の花を咲かせてくれており、やはり薔薇は魅力的な植物だなとあらためて感じている。友人のサイトで見かけて久しぶりに心惹かれた薔薇は、Princesse de Lamballe(プリンセス・ドゥ・ランバル)だ。アルバ系の薔薇で艶がなく少し白っぽい葉、飾り萼、こっくりしたクリーム色、など私の好みにぴったり合う。名前は、ランバル公妃マリー・ルイーズにちなんだもので、マリー・アントワネットの女官長であった貴婦人。ポリニャック公爵夫人がアントワネットに取り入り寵愛を受けるようになり一時官長の地位を失ったが、後に復帰。最後までアントワネットに尽し、民衆に虐殺された。

この薔薇を見ていると、気高く優しく芯が強く、そして誠実な女性を想像する。薔薇にはこのように誰かへのリスペクトやオマージュから名付けられたものが多くあり、それが物語性を帯びてそれぞれの魅力になっているというところがある。文化という観点から薔薇を見てみると、バラ園で咲き競う花を見るだけが薔薇の楽しみ方ではないということがよくわかる。

西武ドームでは今年も国際バラとガーデニングショーが華々しく行われているようだ。様々な感性によって企画されたプレゼンテーションを見る楽しみはわからないでもない。が、もはや興味はなくなってしまった。数少なくなったからこそじっくり付き合えそうなわが家の薔薇を見ている方がいい。

*久々に、「木と草と花と・・・」を更新。

 

| - | 07:30 | comments(2) | - |
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